沖縄の海は自然も豊かで、様々な生き物たちが生息しています。このような恵まれた環境で、ダイビングやシュノーケリング、シーカヤックや磯遊びなど、楽しい体験もたくさんあります。ですが、私たちの目を楽しませてくれる生き物たちの中には咬んだり、刺したり、かぶれさせたりするものもいます。海洋生物について正しく知ることで、危険生物による怪我を予防したり、万が一の場合の被害を軽減できる可能性もあります。ここではマリンスポーツを楽しむ際に特にかかわりがあるかもしれない生物をいくつか紹介します。
直径5cmから15cmの猛毒のイソギンチャクです。握りこぶしくらいで、バフン(馬糞)のようなものからサンゴに擬態しているものまで様々な形態をとります。刺されると赤いポツポツとした刺胞球のあとが付き、とても激しい痛みに襲われます。ハブ毒の数倍もあるので非常に危険です。
5月~10月頃に多く発生し、沖縄周辺の海岸で見られるようになります。触手に刺胞と呼ばれる毒を出す組織が無数についていて、これに触れると強い毒が注入されます。
クラゲが大きく成長していく夏場の時期に被害が増大します。
このクラゲは立方クラゲの仲間で、身体はやや箱型(四角)に近いです。この身体の四隅から長い刺胞が伸びています。
かさの高さは1㎝~20㎝くらいになり、 触手は2m以上に伸びる事もあります。
空気袋の下に長い触手を持っていて、風に流されて漂っています。触手には非常に強い毒を出す刺胞があります。
浜に打ち上げられた後も、しばらくは毒のある刺胞は健在なので、さわったり踏みつけたりしないように。
沖縄や奄美諸島に多く生息している大型のヒトデの仲間で、たくさんの棘を持っています。この棘に刺されると強い毒が注入されます。サンゴを食べることで有名です。意外とかなり浅いところにもいるので、イザリや海水浴の際も注意が必要です。トゲは靴やマリンブーツなどの靴底も容易に通します。オニヒトデ自体が死んだ後も、しばらく毒は生きているので、浜辺で打ち上げられたものでも踏みつけたりしないように。
長く、鋭いとげを持っています。とげは折れやすいです。とげに刺されると毒が注入されます。比較的深くまで刺さりやすいので痛いですし、しばらく痛みが残りやすいです。トゲが残ったままだと治りが遅くなりますし、化膿する場合もあります。
比較的大型のオコゼです。岩の上や砂地にいます。砂中に潜っていることもあり、また色や形が石や岩に似ている為、知らずに手をついたり、踏みつけたりして刺される事があります。また、比較的浅いところにいる場合もありますので、十分注意が必要です。背ビレのトゲはゾウリや運動靴、マリンブーツなら容易に貫通します。猛毒で生命にかかわります。
オコゼやカサゴは周りと同じ色でじっとしているので、気づかずに手をついたり、踏んだりすると刺されます。ミノカサゴは優雅に泳ぎ、人が近づいても逃げたりしませんが、どちらもヒレに毒を出すとげを持っています。オコゼやカサゴの仲間は、刺されると成人男性でも泣き出すほどの激しい痛みを伴います。
殻の長さが10cm程にもなる巻き貝です。歯舌(しぜつ)という矢状の舌で毒を打ち込み、魚を食べます。命にかかわるほどの猛毒です。。神経毒のため、刺されても痛みはほとんど無く、体が痺れ、浅いところでも溺れる危険性があり、多くの死亡例があります。大型のイモガイの仲間は危険です。タガヤサンミナシは同様の方法で貝を捕食します。
ウミヘビはコブラの仲間で、ハブの十数倍の強い神経毒を持っています。好奇心が強く、ウミヘビから近づいてくる場合がありますが、手荒く扱ったりすると危険です。
体長10cmくらいの小さなタコです。普段は比較的地味な感じのときがありますが、相手を威嚇したり、興奮状態にあるときなどは、特にコバルトブルーの鮮やかな輪紋が浮かび上がります。
足の付け根にある口でかまれると命にかかわるほどの強い毒が注入されます。これはフグ毒で有名なテトロドトキシンです。ですから、このタコにかまれたときは絶対に毒を口で吸い出そうとしてはいけません。
アナサンゴモドキの仲間
英名はファイヤーコーラル、別名は火焔サンゴです。刺胞の毒が非常に強く、刺されると火傷のような激痛があります。触らないことはもちろんですが、海では肌を露出させないことが重要です。
群れでかたまっている様子をゴンズイ玉と呼ぶことも。第1背鰭と胸鰭に毒針を持っています。かわいくて、手ですくえそうな感じですが、触ってはいけません。背が立つくらいの浅瀬にいることも。
ウミケムシ
ゴカイなどに近い仲間で、体には節があり、棘状の剛毛が生えています。石やサンゴの下にいることがあります。この剛毛は刺さりやすく、そのまま体内に残ります。そのために痛みが続きます。潮干狩りなどの際に注意しましょう。
サメの仲間
いろいろな種類のサメが生息していますが、中には非常に危険なものも。サメがいるといわれている場所や、ケガをしているときは泳がないことが重要です。サメの行動は予測できないので、おとなしい種類でも、不用意に接近しないことが重要です。
エイの仲間
しっぽの付け根に棘を持っています。刺されると鋭利な切り傷ができたり、アカエイなどでは強い毒が注入される場合があるので、砂地では、不用意に手や足をつかないように。埋もれていて、わかりにくい場合があります。
ダツの仲間
鋭いくちばしを持ち、ものすごいスピードで小魚を捕食します。水面に近いところにいます。光進性といって、光るものに突進する習性があるといわれています。ナイトダイビングの際は、水面ではライトは下向きで、絶対に水平にしないようにと教えられることも。
スベスベマンジュウガニ・ウモレオウギガニ
干潮時の浅瀬や、潮だまりで見かけることも。猛毒を持っているので、絶対に食べてはいけないカニです。基本的に南の島で食べることができるカニは、ノコギリガザミとモクズガニ(汽水域)ぐらいです。
番外編
沖縄でのマングローブカヤックツアーやリバートレッキングツアーで注意が必要です。夏などの水遊びシーズンに、北部の滝や西表のジャングルの水辺などで、レプトスピラ症という感染症が発生しています。潜伏期間があって、3日から2週間くらいしてから、症状が現れることも。重症化すると危険な場合もあります。
アフリカマイマイやジャンボタニシはさわってはいけません。広東住血線虫の中間宿主として知られています。この線虫は人体に感染すると好酸球性髄膜脳炎などを発症して非常に危険な場合もあります。生野菜を食べるときなども、よく水で洗う必要があります。