シオマネキやテナガエビ、甲殻類の仲間
マングローブの林にはたくさんの生き物たちが暮らしています。とても個性的でかわいい生き物たちの代表がカニやエビなどの甲殻類の仲間です。干潮時にはものすごい数のシオマネキを見ることができます。
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スナガニ科
たくさんの甲殻類がいます。干潮時の干潟、特に砂泥地ではシオマネキが食事をしています。砂地ではスナガニやコメツキガニが多くみられます。 |
オスは片方のハサミがとても大きいです。ハサミを振るのはデートのお誘いです。オス同士のけんかの時にもこれで戦ったりします。食事の際は小さいハサミを使います。メスは両手で食事です。まるで引き潮で減った水が戻ってきてほしいっぽくハサミを振るところから、シオマネキ(潮招き)という名前がついています。英名はfiddler crabです。fiddlerはバイオリン奏者のことで、忙しくハサミを動かしている姿からついた名前のようです。国が違うと名前の由来もかなり変わっていて、おもしろいですね。 |
オキナワハクセンシオマネキ
白い扇子をふっているようなイメージがあることから、ハクセン(白扇)シオマネキという名前がついたそうです。風流な名前ですね。干潮におどろくほどたくさん出てきます。
ヤエヤマシオマネキ
ほんとうに南国イメージの名前です。ハサミの下側が細身でスマート、そしてオレンジ色です。ベニシオマネキやオキナワハクセンシオマネキと比べると大きいです。
ヒメシオマネキ
ハクセンシオマネキやベニシオマネキと比べると大きいです。不動指(ハサミの下側のパーツ)には凸凹があります。しかしハサミの喪失後に再生した場合には凸凹ができないそうなので、見分けにくくなります。
ベニシオマネキ
苔が生えているようなところが好きなようです。体色は鮮やかな赤色です。全身が赤い色の個体もいれば、胴体が黒地に水色の模様が入っているおしゃれバージョンの個体もいます。ぜひ観察して探してくださいね。苔の緑とカニの赤い色のコントラストがとてもきれいです。
スナガニの仲間は英名がghost crab(幽霊がに)です。名前の由来は諸説ありますが、ツアーでは「夜にまるで幽霊のように宙に浮いているように素早く走っていくので」と紹介しています。 |
ツノメガニ
マングローブに隣接している砂浜などにいます。目の先に名前の由来となっている突起(ツノ)があります。英名はhorned ghost crabです。これもまさにツノ(horn)です。ほんとうにへんてこりんな目ですね。
ミナミスナガニ
マングローブに隣接している砂浜などにいます。ツノメガニと同様に満潮時に埋まってしまう巣穴の入り口を、潮がひき始めると一生懸命に修復します。足跡が特徴的なので、砂浜で見つけてくださいね。
コメツキガニ
英名はsand bubbler crabです。砂に付着している有機物(栄養)を食べて、残った砂を団子状にして捨てていきます。その行動から砂の泡づくり職人みたいな英語名なのかもしれません。かなり小さく、地面と同じような色です。みなさんが接近すると素早く巣穴に隠れるので、3mくらい前方を見ながらゆっくり近づくと見つけることができるかも。
ミナミコメツキガニ科
ミナミコメツキガニ
愛称は軍隊がに。英名はsoldier crabです。採餌をしながら集団で行進しているような光景から軍隊ガニという愛称がついています。英語名もそのまんまです。名前は似ていても、コメツキガニとは別の科のカニです。カニですが、前にどんどん歩いていきます。泥地のほうを好むようです。
イワガニ科
ヒルギハシリイワガニ
マングローブの水面近くにいますよ。恥ずかしがり屋のカニなので、みなさんが近くに来ると木の後ろ側に隠れたりします。大きいものから小さいものまでいます。上手に前にも後ろにも歩きます。
フタバカクガニ
マングローブの林床内に落ちた葉っぱや胎生種子を切り取って食べていることもあります。本当に上手にハサミでちぎって食事をします。岩に手を置いていると、フタバカクガニにつままれることも。エサだと思われてるようです。
ワタリガニ科
ノコギリガザミ
沖縄ではマングローブガニ、浜名湖ではドウマンガニ、高知ではエガニ、海外では泥ガニ(mud crab)やマングローブクラブ(mangrove crab)と呼ばれることも。強力なハサミでシレナシジミのかたい殻を割って食べてしまいます。マングローブ域の代表選手なので、カヤックツアーの際にカゴを仕掛けているのを見かけることもあります
ノコギリガザミを採るための仕掛けのかごです。昔はネットを張った円形のものでシンプル、カニの足が引っかかって捕まえることができるというものでしたが、今はかなりしっかりしたかごがあります。一度中に入ってしまうと逃げられません。エサを入れたかごに、目印としてペットボトルをヒモで取り付けて、川へ投げ込みます。そして翌日に回収です。ノコギリガザミは夜に採餌のために巣穴から出て活発に活動します。カニが罠にかかったときは、かごを引き上げるときの手ごたえではっきりとわかります。
市場などで生きたままヒモでしばって売っています。牧志公設市場に遊びに行ったときに観察してくださいね。
昔に撮影した写真なので、現在の値段はいくらなのかは市場で確認してみてください。
イソオウギガニ科
クマドリオウギガニ
マングローブの林床内によくいます。ただし警戒心が強いので、こちらの気配を感じるとすぐにかくれます。目の下側の模様が歌舞伎独特の化粧法である隈取(くまどり)に似ていることから、この名前がついています。
モクズガニ科
モクズガニ
マングローブに隣接している湧水などにいます。上海ガニで知られているのはシナモクズガニで、日本にいるものとは種類が違います。モクズガニも食べることができますが、味は上海ガニには及ばないそうです。
オカガニ科
オカガニ
マングローブの後背地などにいます。夜間に活発に活動します。
テナガエビ科
テナガエビの仲間
沖縄ではタナガーと呼ばれています。手長(てなが)からタナガーなんです。ドクターフィッシュのようにクリーニングの習性を持っています。
ヌマエビ
ヤドカリ
ヤドカリの英名はhermit crabです。hermitはキリスト教の修道士とか隠者、世捨て人、孤独、独居性の動物なんていう意味がでてきました。みなさんはヤドカリに合う名前としては、どの意味が好きですか。 |
ツメナガヨコバサミ
マングローブ域でよく見ることができます。サザエやいろいろな貝の殻に入っています。泥地や木の上でよく休んでいます。水面から出ていても、しばらく大丈夫です。オカヤドカリに比べると体がすごく細く、足に毛が生えているので、女子には「気持ち悪い」と不評です。
オカヤドカリ
沖縄ではアーマンとかアーマン小(グワァ)と呼ばれることも。天然記念物に指定されていますが、昔から釣りの餌にも使われてきたので、おそらく日本で一番大切にされていない天然記念物かもしれません。英名はterrestrial hermit crab(陸上のヤドカリ)だそうです。
ムラサキオカヤドカリ
マングローブの後背地や隣接している砂浜などにいます。サザエやアフリカマイマイの殻に入っていることが多いです。バーベキューで食べたサザエの殻は浜辺に戻してあげるといいかもしれません(ちゃんと洗ってから)。アフリカマイマイを襲って、殻を奪いとったりもしているそうです。てっきり落ちているものに入っているとばかり思っていました。
ナキオカヤドカリ
ムラキオカヤドカリにとても似ていますが、これはナキオカヤドカリという種類です。パッと見て見分けるコツとしては目の下のところに黒い斑紋があります。これが涙や泣きぼくろっぽいとしてナキオカヤドカリという説や鳴く(音を立てる)ことからついた名前という説も見られます。見た目でいうと目の下に涙って覚えておくとわかりやすいかもです。
フナムシ科
リュウキュウフナムシ
雑食でまさに海の掃除屋さんです。マングローブの周辺の岩場などで見ることができます。漢字だと船虫。てっきり形が船っぽいのかと思っていましたが、船にまで入ってくる虫という意味合いだそうです。フナムシは英名でwhoaf roach(岸壁・埠頭のゴキブリ)です。ちょっとかわいそうな名前です。