なきじん海辺の自然学校

0980-56-5881
HOMEマングローブ 日本のマングローブ>メヒルギ

メヒルギ/日本のマングローブ

メヒルギ

一番身近なマングローブ メヒルギはがんばりやさん

メヒルギは寒さにいちばん強いマングローブとして、日本各地で頑張って生育しています。海辺の自然学校のカヤックツアーでも、こんなかわいい亜熱帯の植物を楽しく観察しています。
寒さにいちばん強いということは、日本ではその分布範囲が一番広いことになります。ですから生育状況も日本のマングローブの分布の図表と一致します。わたしたちにいちばん身近な樹種だといえます。奄美大島がオヒルギの北限となっているので、これよりも北にあるのはメヒルギだけとなります。

メヒルギ 木の形

樹高

樹高としては、中木~低木にはいります。日本では最大で7~8mくらい、海外ではもっと高いものも。国内のマングローブの中では樹高が低いほうです。木もそれほど太くないので、ひょろ長い感じです。

矮小型

樹高が低いままでずっと生育する木もあります。まるでかわいい盆栽のような感じです。このようなものを矮小型(わいしょうがた)と呼んでいます。「波が強く当たるところや流れが強いところは、木が樹高を低く保って、環境に適用しているのでは?」といわれることもあるのですが、実際は関連性はわからないそうです。

メヒルギ 気根

板根

根が板を立てたような形に発達することで、木を支えています。板根(ばんこん)と呼ばれています。根は呼吸根と言われたりしていますが、ガス交換は行っていないただの気根らしいです。

こんなにすごい板根も

サキシマスオウノキはとても大きい板根で有名な木です。マングローブの後背地で見ることができたりします。沖縄本島では東村のものや西表島の古見のサキシマスオウ群落が有名です。

舵の木

沖縄では昔、この木の根を加工して、サバニなどの船の舵やまな板にもつかっていたそうです。

板根

マングローブの仲間だけではなく、陸上の植物でも板根が発達することがあります。地面に石が多かったり、岩盤になっているようなところでは、根が地表面を覆い隠すように成長する場合(被覆)や、板根が発達することがあります。そして傾斜地生えている場合も、低い側に板根が形成されて、木を支えます。

メヒルギ 葉

ほかのマングローブと比べると葉の大きさは小さめです。葉先はとがらずに丸みを帯びています。

葉の付き方

落下直後

母樹についている状態ですでに発芽して、かわいい葉っぱができています。タレントのはなわの髪型みたいな感じです。

形と大きさ

形はきれいな楕円形。卵型です。先端も丸いです。大きさは、葉身長(長径)は大きいもので約10㎝。葉幅長(短径)は約4㎝、葉柄長(付け根の長さ)は約2㎝といったところです。

枯れ葉

フィルター作用によっても、まだ残ってしまう塩分を、さらに葉にためていきます。その後に落葉させることで、樹内の塩分を減少させています。過酷な環境での耐塩性を保っています。このような落葉させるような塩分排出の方法は、ヤエヤマヒルギがその代表として取り上げられることが多いですが、メヒルギやオヒルギでも行われています。ヒルギの仲間の特徴です。

メヒルギ 花

開花時期は初夏。細長い5枚の萼(がく)があり、かわいい白い花を咲かせます。花弁(はなびら)は糸状で細いです。

蕾(つぼみ)

メヒルギの胎生種子が落下し始める季節には、やや赤みを帯びたかわいい蕾がつき始めます。すでに次のシーズンの準備がスタートしています。
このように蕾もだんだんと成長して、大きくなっていきます。


メヒルギ 果実(胎生種子)

長さは約20㎝前後です。細長くて、表面はすべすべしています。

果実


胚軸


一つの果実から発芽した2個の胎生種子です。


萼の下部の淡緑色の部分が11~12mmくらいになると十分に成熟したしるしです。いつ胎生種子が落下してもおかしくありません。自然にストーンと抜け落ちます。その瞬間に出くわすと感動します。
萼ごと落下してしまいました。強風で落ちたり、時には鳥に蹴られてなど不可抗力です。こういうことはよくあります。
こんな感じですでに発芽しています。あまり成熟していない状態だと、ひっぱってもキャップのような萼が外れません。無理をしてとろうとすると、上部がもげてしまいます。

胎生種子の大きさ

胎生種子と果実の大きさ

果実

メヒルギの胎生種子と果実

胚軸の断面


<< 前のページに戻る