台風が過ぎて、ひと段落したので周囲の様子を確認しました。
地形がだいぶ変わっていました。
自然学校側の水辺にはものすごい量の砂が入ってきました。
砂といっても、海からやってきたものなのでサンゴ砂です。
サンゴが死ぬと美しかった色彩(共生している褐虫藻が持っている色)がなくなって白くなります。
そして強度が弱くなり、だんだんと折れて壊れていきます。
サンゴは海の住み込み連鎖を支えています。
サンゴの立体構造が魚たちの住み家や隠れ場所になっています。
サンゴ自体に住んでいる貝やそのほかの生き物もいます。
崩れたサンゴは波にもまれたりして、どんどん細かく砕かれていきます。
細かくなったサンゴの破片はバラスと呼ばれています。
土木や造園で使用する砂利などのこともバラスといいます。
船のバランスを安定させるために、船底にのせたりした重しをバラストといいます。
そのバラストとして砂や石などが使われることが多かったです。
ネットで調べたら、バラストのトがとれてバラスになったと掲載されていました。
何気なく使っていた言葉ですが、由来を調べてみたら面白いですね。
ちなみにタンカーなどは積み荷を降ろした後にバラスト代わりに海水を載せたりします(バラスト水)。
その海水を放出した際に、稚貝などが混ざっていると、まったく関係がない地域で生育、繁殖することがあり、外来種という問題が発生することも。
ホンビノスガイなども外国から来た船のバラスト水に混ざっていたものが東京や大阪の港近くで繁殖し始めたものです。
あ、サンゴの話から、おおきく脇道へそれてしまいました。
砕けたサンゴはバラスや細かい砂となって、沿岸部へ流されて堆積します。
そして沖縄のきれいな白い砂浜が誕生します。
砂浜が誕生することによって、砂の中に巣を作り生活する生き物が出てきます。
カニたちもそうですし、貝もいます。
それらの捕食者も現れます。
また堆積した砂や石が作った浜辺が生き物たちの連絡路にもなります。
陸上と海とが砂浜という緩やかな傾斜でつながれることにより、生き物の行き来もスムーズになります。
陸生のカニもこのような浜辺を活用しています。
ウミガメの産卵場所としても役立っています。
砂浜が広がることにより、海岸のラインが沖合に延長されて伸びます。
そのことによって陸上(元の海岸線)が波によって浸食されることを防止します。
日本は島国です。
海岸線の浸食は、すなわち国土の減少にもつながりますので、海岸の保全というのがとても重要です。
そのためにものすごい範囲の海岸線が護岸工事などで保護されています。
台風の襲来は昔から、この海岸を壊したり、再構築したりということを繰り返してきました。
台風の進路によって、吹き込む風の向きも変化します。
台風の移動に応じて風向きが変わります。
時には大量の砂を運び込んだり、時には大きく地形をえぐり取ることもあります。
今回の台風では事務所の前の水辺には大量の砂が運ばれてきました。
カヤック乗り場の砂はおおきくえぐり取られてしまいました。
砂が堆積すると、泥地で生活していたシオマネキ他たちは姿を消します。
ミナミスナガニやツノメガニなどのスナガニの仲間が増えてきます。
干潟の生態系も大きな影響をうけます。
今回は沖縄本島の東側を通過して、北寄りの強い風が吹き続けました。
気圧配置の関係で、本州付近に高気圧、沖縄の南の海上に低気圧があることで、台風の通過後も風向が変わることもなく、ずっと強い北風が吹きつつけています。
これでは砂がどんどん運ばれてきます。
台風が沖縄の西側を通過しながら、強い南風が吹き続けると、砂が逆に流されて、減少することもあります。
こればかりは自然のことなので、どうなるかは予想がつきません。
長い時間暮らしていると、風景の移り変わりを見ることができて、とても面白いです。
昔はああだった、こうだったなんて言えたら楽しいですね。
ものすごく砂浜が広くなりました。
このタイヤはもっと別の場所にありました。
台風で押し流されてきました。
時折、強い風が吹き抜けていきます。
強い風が吹き続けて、きれいな波の模様ができていますね。
今回の台風で崩れました。
海水をかぶって、いたるところで葉が枯れています。
吹いてくる風は大量の塩分を含んでいるのです。
内陸の農作物にも大きな被害をもたらします。
特に風台風は大変です。
雨が降ると塩分をある程度は洗い流したり、薄めてくれます。
もともと傷んでいた木も、今回の強風で倒れました。